子育て支援プログラムの流れ

CASE:生後9ヶ月乳幼児

プログラム終了後

気になる点:人見知りが強いところが気になる

背景:今回相談を受けたのは、弊社施設に出産直前まで腰痛治療にて、来院していた立川市在住のお母さんです。

お母様希望により女性鍼灸師が担当

状態としては、おねむり前で、体温高め、呼吸浅目、ご機嫌斜めでした。

お母様からヒアリング終了後にお子様にも様子を見てもらい、本人が落ち着いついてから、プログラム開始しました。

プログラムの流れとセラピストの話(全15分程度)

※年齢によっては医療機も追加します

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    ベビーカー→ママの抱っこ→私でしたので、そのまま座位の姿勢を観察しました。理由として、体勢や視界の変化により心身にかかる負担を考慮しました。またお母さんが見える位置を配慮して、コニュニケーションをと入りました。生後9ヶ月で頸部も安定しており体幹筋もしっかりしていました。
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    お母さんに娘さんの一番好きなことをお聞きした際に「万歳が好き」と言われましたので、お母さんと一緒に一度やってもらいました。すると娘さんは、笑顔の表出が見られました。さらに万歳をすると重心が不安定になりますが、平衡反応がしっかりしており、安定したままで座位保持が可能でした。
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    良好な表出が存在するために、次に娘さんの手に触れました。この時は上から触ると威圧感や重力に対して不可になるために、下から触るようにしました。娘さんはお母さんに焦点が向かっていましたので、ソとミの音階で優しく声かけを実施しました。ソとミの音階は安心させるためです。
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    娘さんの焦点はすぐに私に向きましたので、脳の覚醒度が高いと判断しました。把握反射は消失している月齢ですが、私への興味からか、私の手のひらを握ろうとしてくれましたので、信頼関係を築くために少し時間を取り遊ぶように配慮しました。
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    娘さんが手を伸ばしリーチ動作をしましたので、私の肩へ誘導しました。乳幼児のリーチ動作は脳の発育を判断する上でとても重要です。なぜなら自身の体の位置が判断できていないと、手を伸ばす動作ができないからです。医学的にはボディースキーマ(身体図式)と言います。
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    娘さんのリーチ動作は私の方まで到達しました。この時に娘さんは左足を内側に入れて動作をしています。足を広げたままの方が、安定性は高いですが、左足を内側に入れ重心を左側に移動しやすくしました。それでも座位が安定しているので、そろそろつかまり立ち到達しそうです。
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    娘さんはその後も、疲労や注意の低下も存在しなかったので、私は課題を追加して小児鍼に移行の判断をして、ローラー鍼を見せてあげました。キラキラして綺麗なのか興味津々であり、すぐに触れて確認していました。この時はしばらくローラー鍼を、触らせてあげて欲求を満たし、安全で安心であると認知してもらい、好んでもらいました。
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    娘さんは人見知りという相談でしたので、感覚が豊富な手からアプローチしました。西洋医学では触覚は一番早く脳に届く刺激ですので、苦痛を与えたいように優しく行いました。東洋医学所見では、声が甲高い、肌の色が白い、とても爪が薄い、髪の毛が細く薄い、などから血虚と判断しました。それゆえに刺激や優しい方が適しています。
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    まだ軽度な人見知りであるため、東洋医学では表症であることから、末端である足も使いました。手の甲やスネは東洋医学では陽であります。娘さんは虚であるために、陽を補うように反応を見ました。また西洋医学ではWHOが足のスネを刺激すると、腸間動脈の血流が向上すると、科学的効果を認めているためにスネを選びました。
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    しばらくすると気持ち良いせいか娘さんは静かになってゆきました。副交感神経優位になったのでしょう。副交感神経優位になると筋肉の力が抜けて、筋血流量が低下して、内臓血流量が増加します。交感神経ではその逆になります。人見知りで不安定になる時は、交感神経優位であると言えます。
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    娘さんが協力的でしたので仰向けに移行しました。急な体位変換は心拍の変化や呼吸環境が変化します。特にお子様の場合は視界の変化にて、不安症状が出やすいです。ここで一度不機嫌になりましたので、お母様に介入してもらいました。すぐに落ち着きましたが、私はあまり継続しないと判断しました。
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    娘さんは座位保持の際はご機嫌でありましたが、仰向けになった途端に、不機嫌になったために本日のプログラムに仰向けは向いていないと考えました。全身の筋緊張が入ったために、同じリズムで軽く足を揺すってあげました。結果として少し環境への慣れと落ち着きが戻りました。
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    足裏を軽く撫でてあげて、正しく足裏反射が出ているか確認しながら、優しい感覚刺激を脳に送るようにしました。するとさらに落ち着くようになりました。足裏はメカノレセプターという自身の位置を確認する深部感覚のレセプターが多いので早いうちから刺激することは脳の発育にもバランス能力向上にもつながります。
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    娘さんは落ち着きましたのでうつ伏せに移行しました。体位変換で丸く固まりました。大きく不安にはならなかったので、肩甲骨の間を軽く触れるようにしました。持続的に触れる音は、鎮静効果があると言われています。(アイントシュルツの法則)またうつ伏せ仰向けで見られた娘さんの反応は、STNRといいハイハイの基礎になる反射です。
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    東洋医学では昔から子供の治療は背中のツボを使います。西洋医学の観点からは背中は交感神経節という緊張させる自律神経が集まるところでもあるからでしょう。娘さんの背中に暖かい石の温灸(オンキュウ)を行うとお子様の手足は伸びてきましたが、おねむがあったのか少し脱抑制というイヤイヤの表出がではじめたので終了としました。

プログラム終了後

プログラム終了後

お母さんからの感想

以前からお世話になっているということもあり、とても安心してお任せできました。民間のベビーマッサージなどの講習も受けようか迷いましたが、やはり国家資格者である方に、お願いすることにして良かったと今は感じています。
娘は途中少し不機嫌になりましたが、すぐに気持ちよさそうにしていました。
子育ては24時間であり自身では感じていませんでしたが、色々と抱え込みやすい側面があるのかと思いました。また娘が意外とお任せして平気だったのが寂しかった反面、とても安心して気が楽になりました。今後も継続して利用させていただきたいと思います。

セラピストからのアドバイス

弊社には専門士である保育士さん多く来院します。お話をお伺いするとお昼寝の時間になると必ず85%の子供は寝るそうです。習慣といえばそれまでですが、医学的には手続き記憶と言い、脳の海馬がそれをコントロールします。子供は変化に敏感ですので、環境を整えてあげて、気持ちよく正しいように導くことで良い癖ができます。また良い癖は必ずのちの成長にも結びつきます。

例えば上記に述べた睡眠に対してですが、大人は3時間が1サイクルでありますが、子供の場合月齢にもよりますが、それよりかなり短く1時間から2時間になります。そのためにオンオフをしっかりつけなければ、成長ホルモンの分泌とメラトニンの分泌バランスが崩れてしまいます。単純に疲れやすくなりバイタルが乱れてしまいます。自律神経の活動度が低下して不安定になります。結果として発育にも問題が生じてしまいます。

私たちが行なっていることは、それらに対してお子様が少しずつ良い方向に向かうように、様々角度から手助けすることであります。お薬のように劇的な変化がなくても、必ず手続き記憶は形成されます。

少し難しいお話なのですが、真実をエビデンスに基づいてお話することは、皆様の人生の糧となることと感じております。
お子様一人ひとりアドバイスが異なりますが、少しでも皆様のお役に立てるように日々研鑽しておりますので、お気軽にご相談くださいませ。